しっかり寝ても眠い……これって過眠症？

しっかり寝ているのになぜか眠い……。もしかしてこれは病気？疲れている人も多いからか、近年「過眠症」を検索する人が一定数いるようです。寝ても寝ても眠いという人の原因と、日常生活で気をつけたいことをご紹介します。

「なんか眠い……」にも色々なタイプがある！

「過眠」とは「日中に必要以上の眠気がある」ことをいい、その中でも特別に過眠の症状が現れる病気を「過眠症」と言います。

「過眠症」という病気そのものだけでなく、他の病気の症状の一部として「過眠」が現れることもあります。そこで、まずは過眠の症状の頻度、強さ、持続時間、睡眠時間の質や長さ、時間帯のパターン、日常的に摂取している薬の影響、身体や心に関わる病気、眠気以外の症状(随伴症状)などをみる必要があります。

過眠の原因

◯日常生活の問題◯

 ①睡眠不足

・睡眠不足症候群

・長時間睡眠者

②睡眠の質の低下を起こす環境

・睡眠に適さない音

・光

・温度

・湿度

・寝具

③接種物質の影響

・アルコール

・カフェイン離脱

・抗アレルギー薬

・睡眠薬

◯病気の一症状◯

 ④身体疾患

・花粉症

・脳血管疾患

・頭部外傷

・全身性炎症疾患

・甲状腺機能低下症

⑤心理的ストレス、精神疾患

・緊張感

・不安

・抑うつ気分

・不眠症

・うつ病

・双極性障害

⑥睡眠の質の低下を起こす疾患（睡眠障害）

・睡眠時無呼吸症候群

・むずむず脚症候群

・周期性四肢運動障害

⑦概日リズム睡眠・覚醒障害

・時差ボケ（ジェットラグ）

・交代勤務

・睡眠・覚醒相後退障害

◯過眠症◯

 ⑧中枢性過眠症

・ナルコプレシー

・特発性過眠症

・反復性過眠症

①～③は日常生活を改善することでよくなる可能性がある範囲

④以下は、何らかの病気の兆候である可能性が高いため、一度お医者様と相談した方がよいでしょう。医療機関の受診をお勧めします。

病気の症状のひとつとして現れる「過眠」

出典：photoAC

病気の症状の一つとして「過眠」が出ることがあります。 

代表的なものとして、秋から冬にかけて「抑うつ」気分が出て、春や夏になるとよくなることを繰り返す「冬季うつ病(季節性感情障害) 」

睡眠中に気道が狭くなり周期的に呼吸が止まる、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」

夜眠れず、日中の眠気や疲労などの不調が現れる「不眠症」などがあります。
また、起床すべき時間帯に眠ってしまい、夜に眠れない時差ぼけ(ジェットラグ)のような状態を「概日リズム睡眠・覚醒障害」と呼びます。

健康な人であれば一時的な症状のみですぐに改善できますが、場合によっては

・疲労

・頭重感

・食欲低下

・胃腸障害

などの症状が現れます。原因は、体内時計の乱れによるもので昼夜が逆転するような勤務形態の人にもみられます。
入眠時間が遅く、朝は起きることができないためにリズムが一定に遅くなる「睡眠・覚醒相後退障害」は若者によく起こり、

夜早く眠り、早朝に目覚める「睡眠・覚醒相前進障害」は高齢者に多くみられます。

予防のために心がけたいこと

過眠症、不眠症などを含む睡眠障害全般に対する予防には、「睡眠障害対処12の指針」(『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』より)が役立ちます。現状で睡眠に不安がある人は、この指針を参考にしてみてください！

1 睡眠時間は人それぞれ違う。日中の眠気で困らなければ◯

睡眠の長い、短い、は人それぞれ。

季節でも変化するため、8時間にこだわらない
歳をとると必要な睡眠時間は短くなる

2 眠る前には自分なりのリラックス法を

就床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間のタバコは避ける
スマホは置いて、読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニングを。

3 眠くなってから布団に入る。就床時刻にこだわりすぎない

眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くすることも。

4 同じ時刻に毎日起床
早寝早起きでなく、早起きするだけで早寝に通じる。

5 光の利用でよい睡眠を

目が覚めたら日の光を取り入れ、体内時計をスイッチオン！
夜は暗めの照明を

6 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣

朝食は心と身体の目覚めに重要。夜食は軽めに。

運動習慣は熟睡を促進

7 昼寝をするなら、15時前の20～30分まで
長い昼寝はかえってぼんやりするので✖️
夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響

8 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る

9 睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
専門治療が必要

10 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に
長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談。
車の運転に注意する

11　睡眠薬代わりに寝酒は不眠のもと
睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる

12 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

一定時刻に服用し就床

深い睡眠を減らす、アルコールとの併用をしない

以上のことに気をつけながら、質のいい睡眠をとって元気に活動していきたいものですね。

取り入れられるところからぜひ実践してみてください！